
1つ目の幼稚園に入ったばかりの頃のことです。
お迎えに行った時、
先生から、その日の様子を聞きました。
「今日はこれに夢中で」と言われて見せてもらったのが、
園に置いてあったバランスペダルのようなものでした。
朝からずっと、
そしてお昼からもずっと。
ひたすら、それを続けていたそうです。
先生は、
とても頑張り屋さんで、集中力があって、というふうに
話してくださいました。
でも私は、
その話を聞きながら、
どこかで少し、複雑な気持ちにもなったのです。
誰とも関わらず、
それだけを続けていたここちゃんの姿が、
なんとなく、強く残っていて。
「頑張り屋さん」とは、少し違う何か。
そのあと、
「ご自宅にもあった方がいいかもしれません」と、
カタログを見せていただいて、
他のお子さんも使うものだし、
ここちゃんだけが独占してしまうのも……と思い、
家用に用意することにしました。
でも今思うと、
あれは、そういうことではなかったのだと思います。
娘にとって必要だったのは、
その道具ではなかった。
あの頃の私は、
どこまで伝えていいのかも分からず、
少しだけ遠慮していたのかもしれません。
先生と私とで、
ここちゃんの見え方が、少しずつ違っていて。
そのズレに、
この時はまだ気づいていませんでした。
ただ、あの黄色いバランスペダルのことだけは、
今でも、心のどこかに残っています。

