
これは、1つ目の幼稚園の頃のことです。
幼稚園の外に、
少し大きめの会館があって、
そこで発表会が行われました。
園児たちは、
動物の顔のお飾りを頭にかぶって、
劇をすることになっていて、
その頃は、
その練習が続いていました。
でも、ここちゃんは、
その被り物がどうしても苦手で、
かぶせても、ポーンと投げてしまいます。
周りの子どもたちが、
少しずつ演技を覚えていく中で、
娘にとっては、
みんなと同じようにやること自体が、
負担の大きい時期でした。
それに加えて、
普段とは違う会館という場所も、
その時々の様子によっては、
負担になることがありました。
先生方も、
娘にはセリフなどの負担は持たせず、
まずは
その場に立つことや、
被り物に慣れることを
目標にしてくださっていました。
そして迎えた当日。
正直に言うと、
発表会は少し憂鬱でもありました。
他の親御さんにとっては、
楽しみにしている行事です。
でも私の中では、
どうしても入園式のときのことが重なって、
もしまた、
場の流れを崩してしまったらどうしようと、
不安の方が大きくなっていました。
それでも、
あの場所に立てたこと自体が、
100点満点だったと思うのです。
実際には、
他の園児さんの演技の途中で、
やっぱり被り物はポーンと投げてしまいました。
先生が一人、後ろについてくださっていて、
そっと拾い上げてくださっていました。
それを見ながら、
私の中にあったのは、
「よくここまで来たね」
その気持ちだけでした。
そして当日を終えて、
無事に終わったときは、
ほっとした気持ちが一番大きくて、
正直なところ、
内容をあまり覚えていないくらいでした。
それからずいぶん時間が経って、
あるとき、
職場の同僚が、ぽつりと
子どものことで悩んでいると話してくれました。
同じように発表会があって、
そのときの動画を見せてもらうと、
そこには、
被り物をポーンと投げてしまう姿がありました。
その瞬間、
あの頃のここちゃんの姿が、
ふっと重なりました。
きっと、
その子にとっても、
今はまだ途中の時期です。
そして、
その同僚の気持ちも、
よく分かりました。
まるで、
あの頃の自分を見ているようで。
だから私は、
心の中でエールを送りたくなりました。
