
今日、
娘(ここちゃん)と一緒に、
九州の旅の動画を見ていました。
そこから、
ふと昔の話になって。
大分の道の駅だったと思います。
子どもたちが水遊びできるような、
小さな池のような場所があって、
そこで遊ばせることになりました。
そのとき、
ここちゃんはクロックスを履いていて、
足から外れたそれが、
水の上をぷかぷかと浮いていました。
それを、
面白そうに眺めていたのです。
黄色いクロックスが、
ゆっくり水に流されながら、
くるくると向きを変えていく。
そんな様子を、
しばらく楽しそうに見ていました。
でも、
気がつくと、
そのまま少しずつ流れていって、
排水のほうへ近づいていったのです。
そして、
「あっ」
と思った瞬間には、
そのまま排水溝の中へ、
すっと入っていってしまいました。
一度中へ入ってしまうと、
もう見えません。
どこへ行ったのかも分からない。
その瞬間、
ここちゃんは、
全てを失ったような大きなパニックになりました。
私たちも、
大慌てでした。
流れていく先はどこなのか。
主人と一緒に、
その先をたどるように走っていって、
「このままだと川のほうへ行くかもしれない」
そんな話をしながら、
先回りするように探していました。
すると、
網目の隙間から、
ほんの少しだけ、
黄色いクロックスが、
水に流されていくのが見えたのです。
主人が、
その流れてくるタイミングを見ながら、
重たいふたを持ち上げて、
なんとか、
クロックスをすくい上げました。
その間、
ここちゃんは、
ずっとパニックでした。
そして気がつくと、
周りにいた小さな子どもたちまで、
固まったようにこちらを見ていました。
その頃のここちゃんは、
もう小学三年生くらいだったと思います。
周囲から見たら、
かなり切迫した状況に見えていたのだと思います。
その空気に、
私も途中ではっとしました。
きっと普通なら、
「仕方ないね」
で済むことなのだと思います。
クロックスなんて、
どこにでも売っています。
また買えばいい。
それだけのことなのだと思います。
でも、
あの頃の娘にとっては、
あのクロックスには、
代わりがありませんでした。
世界で、
たった一足しかないもの。
もしあのまま、
戻ってこなかったら。
きっと、
その後の旅行も、
落ち着いて続けることは難しかったと思います。
それくらい、
当時の娘にとっては、
大きな出来事でした。
そして、
クロックスが戻ってきた時、
主人と二人で、
「よかった……!」
と、
思わず声が出るくらい、
ほっとしたのを覚えています。
あの頃は、
こういう大きなパニックがあるたびに、
「この子は、
これからどう成長していくのだろう」
そんな不安も、
どこかにありました。
でも今になると、
「そんなこともあったね」
と、
娘本人と話せるようになっています。
娘も、
節目節目の大きなパニックは、
今でもよく覚えているのです。
理由なんて、
今でもよく分からない。
でも、
それも含めて、
今では、
少し色の濃い思い出のひとつです。
