
感覚が敏感だった娘と育んだやすらぎの時間
子どもにとっての“安心グッズ”とは、どんなものでしょうか。
うちの娘にとっては、それが──
**「タオル」**でした。
感覚が敏感だった娘は、音や光、空間の変化に圧倒されやすく、
なかなか気持ちが落ち着かない日も多くありました。
そんな娘の心を、静かに、そして確かに支えてくれていたのが──
いつもそばにあった、お気に入りのタオルだったのです。
おんぶ紐が、ここちゃんと私の毎日を繋いでくれていた日々。
外に出て、風を感じて、景色を眺めることで、
なんとか1日がまわっていくような時期がありました。
家の中でじっとしていると、だんだんと機嫌がもたなくなる。
だから私たちは、毎日のように外へ出ていきました。
「その方が楽だったから」というのは、
以前にも書いたことがあったかもしれません。
そんな生活のなかで、ある日、ふと気づいたことがありました。
娘を寝かせているベッドに行ったら、
そのすぐそばに、タオルがありました。
「あれ? さっきまでは別の場所にあったはず…」
不思議に思ったことが、何度か続いたのです。
その頃のここちゃんは、まだ寝返りも少なく、
おもちゃにもほとんど興味を示さず、
何かに反応するようすもあまり見られませんでした。
けれど私の見ていないところで──
シュッと手を伸ばして、タオルを口にくわえていたのです。
それはまるで、
そっと自分の世界の中で安心を探しているような仕草でした。
しばらくすると、
そのタオルを“チュッチュ”するのが、
娘の**“クールダウン”の方法**になっていきました。
ぐずったとき、泣きそうなとき──
おしゃぶりの代わりに、
静かにタオルに気持ちをゆだねるここちゃん。
その姿を見て、私は
「これが娘にとっての安心グッズなんだな」
と感じました。

🧺 実用面で気をつけていたこと
タオルは、いつも肌にふれたり、口にくわえたりするものだったので、
清潔さにはかなり気をつかっていました。
我が家では、同じ素材・サイズのタオルを、柄違いでいくつもストック。
どれを渡しても「これだよ」と受け取れるようにしておき、
毎回の使用後は煮沸消毒やこまめな洗濯も欠かさず続けていました。
それに加えて──
「このタオルじゃないとダメ!」になってしまわないように、
あえていくつかを“同じくらい大切なもの”として並べておく工夫もしていました。
感覚が繊細な子どもほど、ひとつの物へのこだわりが強くなることもあると感じていたからです。
私なりのちいさな予防策として、
“同じ素材、ちがう柄”という選び方で、少しずつ数を増やしていきました。
この“タオルケア”は、思えば何年も続けていたように思います。
安心を保つために、私なりにできることを、静かに続けていた習慣でした。
🚗 クールダウンの時間と、そばにあったもの
幼少期のある時期は、
ときどき、感情が大きく揺れてしまい、パニックのように泣いてしまう日もありました。
あまりに泣きすぎて、家に戻ることもできず、
そんなときは、車でぐるぐるとドライブをして、娘が落ち着くのを待ちました。
車の中で流れる景色と、静かな空気。
それに、娘の手元には、いつもお気に入りのタオルがありました。
ぎゅっと握って、そっと口にくわえて──
タオルは、あの頃の娘の心をそっと守ってくれていたのです。
それは、ただの“布”ではなく、
娘にとっての「安心」と「切り替え」の道具でした。
もちろん成長とともに、
外出時に持ち歩くことは減っていきました。
家だけで使うようになったり、
旅行のときだけ、そっとカバンに入れていったり。
そのときどきに応じた“タオルとの距離感”を、娘自身が調整できるようになっていったのも、ひとつの成長だったのかもしれません。
おわりに|タオルは、今もそばにある“心のおまもり”
今でも、寝る前にはそっと、お気に入りのタオルを手に取ります。
おもちゃよりも、何よりも大切だったタオル。
娘が、自分の力で見つけて、そっと抱えてきた「安心のかたち」。
それは、今でもずっと、娘のそばにあります。

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